みみをすます
今朝、録画しておいた【ボクらの時代】。今回は、谷川俊太郎、箭内道彦、宮藤官九郎の3人。それぞれがお互いに興味津々で、目が輝いていた。三様にとても個性的だけれど、根っこの部分で繋がっているのが見え浮き彫りになっていく。それを楽しんでいる感がとても良い。谷川さんが佐野洋子さんのことをあそこまで具体的に話しているのは興味深かった。
箭内さんが大好きだという谷川俊太郎の【みみをすます】という詩を、私は知らなかった。探して読んでみたら、とても心打たれる・・。研ぎ澄まされた感覚で目を閉じると、紡がれて文字になった音が耳の奥に蘇ってくるようだ。ひとつひとつが、深い意味を持ち問いかけてくる。そして、す~っと心底に吸い込まれていくような感覚。
【みみをすます】谷川俊太郎
みみをすます
きのうのあまだれに
みみをすます
みみをすます
いつから
つづいてきたともしれぬ
ひとびとの
あしおとに
みみをすます
めをつむり
みみをすます
ハイヒールのこつこつ
ながぐつのどたどた
ぽっくりのぽくぽく
みみをすます
ほうばのからんころん
あみあげのざっくざっく
ぞうりのぺたぺた
みみをすます
わらぐつのさくさく
きぐつのことこと
モカシンのすたすた
わらじのてくてく
そうして
はだしのひたひた・・・・・
にまじる
へびのするする
このはのかさこそ
きえかかる
ひのくすぶり
くらやみのおくの
みみなり
みみをすます
しんでゆくきょうりゅうの
うめきに
みみをすます
かみなりにうたれ
もえあがるきの
さけびに
なりやまぬ
しおざいに
おともなく
ふりつもる
プランクトンに
みみをすます
なにがだれを
よんでいるのか
じぶんの
うぶごえに
みみをすます
そのよるの
みずおと
とびらのきしみ
ささやきと
わらいに
みみをすます
こだまする
おかあさんの
こもりうたに
おとうさんの
しんぞうのおとに
みみをすます
おじいさんの
とおいせき
おばあさんの
はたのひびき
たけやぶをわたるかぜと
そのかぜにのる
ああめんと
なんまいだ
しょうがっこうの
あしぶみおるがん
うみをわたってきた
みしらぬくにの
ふるいうたに
みみをすます
くさをかるおと
てつをうつおと
きをけずるおと
ふえをふくおと
にくのにえるおと
さけをつぐおと
とをたたくおと
ひとりごと
うったえるこえ
おしえるこえ
めいれいするこえ
こばむこえ
あざけるこえ
ねこなでごえ
ときのこえ
そして
おし
・・・・・・
みみをすます
うまのいななきと
ゆみのつるおと
やりがよろいを
つらぬくおと
みみもとにうなる
たまおと
ひきずられるくさり
ふりおろされるむち
ののしりと
のろい
くびつりだい
きのこぐも
つきることのない
あらそいの
かんだかい
ものおとにまじる
たかいびきと
やがて
すずめのさえずり
かわらぬあさの
しずけさに
みみをすます
(ひとつのおとに
ひとつのこえに
みみをすますことが
もうひとつのおとに
もうひとつのこえに
みみをふさぐことに
ならないように)
みみをすます
じゅうねんまえの
むすめの
すすりなきに
みみをすます
みみをすます
ひやくねんまえのひゃくしょうの
しゃっくりに
みみをすます
みみをすます
せんねんまえの
いざりの
いのりに
みみをすます
みみをすます
いちまんねんまえの
あかんぼの
あくびに
みみをすます
みみをすます
じゅうまんねんまえの
こじかのなきごえに
ひゃくまんねんまえの
しだのそよぎに
せんまんねんまえの
なだれに
いちおくねんまえの
ほしのささやきに
いっちょうねんまえの
うちゅうのとどろきに
みみをすます
みみをすます
みちばたの
いしころに
みみをすます
かすかにうなる
コンピュータに
みみをすます
くちごもる
となりのひとに
みみをすます
どこかでギターのつまびき
どこかでさらがわれる
どこかであいうえお
ざわめきのそこの
いまに
みみをすます
みみをすます
きょうへとながれこむ
あしたの
まだきこえない
おがわのせせらぎに
みみをすます
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コメント
私もこれ、途中から見たんですが、谷川さんが詩を書くのは売れることを想定してるよ当たり前じゃん!みたく言ってるのを聞いて、めちゃホッとしました。
投稿: 45 | 2011年11月14日 (月) 22時55分
そうそう、詩人なんていうとちょっと浮世離れした感じを連想してしまうのだけど、
いたって常識的で「そりゃ、お金ですよ」って(笑)
想像していたところがガラガラ崩れていくのを楽しんでいるクドカンが愉快でした。
投稿: saco | 2011年11月15日 (火) 16時49分